いよいよ夏の甲子園に向けて沖縄・北海道の地区大会がスタートした。これから甲子園の決勝までの約2ヶ月間、一球一球に一喜一憂する季節がやって来た。
そして、それは無情にもベンチ入りを逃した3年生メンバーにとって引退の時を迎える季節でもある。先日、城西大学付属城西高校と日大豊山高校
の引退試合があるとのことで初めて引退試合を観戦した。試合中盤からの観戦となったがかなりバタバタポロポロという試合内容で引退試合という悲壮感はあまりなく両チームともに同級生全員で野球を楽しんでいる様子だった。
引退試合そのものはベンチ外になったメンバーがひとつの区切りをつける意味でも否定するところはなく素晴らしい試みだし学校によってはブラスバンドの演奏つきで応援しているところもある。引退する選手にとっても、ベンチ入りを果たしたメンバーにとっても同級生だけで試合ができる機会を存分に楽しんでいるようだ。
ただ、本当にこれで終わらせていいのだろうか。野球人口減少の影響で年々参加校が減っており、連合チームという形でなんとか参加している選手もたくさんいる。かたや、部員数が多くベンチ入り出来ず公式戦はおろか練習試合にも出られないまま引退試合を迎える選手もいる。観戦した城西対豊山の試合でも守備の連携で明らかに試合慣れしていないと思われる選手がたくさんいた。一方でこのレベルでもベンチに入れないんだと思うような選手もいた。
詳しいルールはわからないが、社会人の都市対抗野球のように派遣選手としてこういう選手を公式戦に出場するような制度は作れないものだろうか。人数が足りずに参加出来ない高校にベンチ外になった3年生選手を派遣し試合に出場できるルールがあれば部員不足に悩む野球部にとっても大会に出られるし、ベンチ外になった選手も公式戦に出場することの意義は大きいと思うのだが。何より部員不足にも関わらず野球部として活動してきた選手、部員が多くレギュラーになれないと分かっていても野球を続けてきた選手に対して、ちゃんと試合をさせてあげたい。野球をやってきたと胸を張って言える終わり方をさせてあげたい。
もし、派遣された側の選手が派遣した側の高校と対戦することになってもそれはそれで楽しいのではないだろうか。真剣に勝ち負けを競い合うところに野球の楽しさはあるのだから。
現在の状態が続けばせっかく野球がやりたくて野球部に入ったのに試合に出られず終わってしまう生徒が増え、結果的に野球人口の減少に拍車をかけてしまうように思う。
高校野球の大義が教育にあるのであれば、野球を通して他校の生徒と交流し人間関係を育むことに繋がるし、強豪校の生徒が技術的なアドバイスを送ることも教育の一部になるだろう。色んな課題はあるだろうが、せっかく連合チームという状態での参加を許可しているわけだから、さらなるルール改正を期待したい。
最後に星稜高校の伊藤君がベンチ外となってしまった。春季大会の3回戦では短いイニングだか無失点に抑えているピッチャーだ。奥川君を始め投手層の厚い中では致し方ない部分もあるだろう。生でピッチングを見たことがない無責任な大人の意見としては大学でも野球を続けて欲しい。引退試合時に138キロを出したようだが秋の北信越や明治神宮大会に出場するチームのエース級でも秋の段階で140キロ近くを投げ込むピッチャーはほとんどいなかった。それが一冬超えたとはいえ、138キロを現時点で投げられるのであれば来春までにしっかりとトレーニングを続けていけば140キロ中盤くらいは充分投げられるのではないだろうか。そうなれば変化球のキレ次第ではさらにステップアップも期待出来る。高校時代は控えでも大学野球の環境で花咲く選手も多いからだ。勝手ながら伊藤君の進路に注目していきたい。
伊藤君のような選手にこそ派遣選手として公式戦のマウンドに立たせてあげたい。チームをサポートするのは大切なことだが高校生は1ヶ月あれば大化けする可能性もあるわけだし、公式戦のマウンドで投げているチームメイトを応援したいのが本音ではないだろうか。
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