星稜高校、センバツ出場が遠のく(第153回北信越地区高等学校野球大会 総括)

星稜高校、センバツ出場遠のく

2025年秋季北信越地区高等学校野球大会で、2年ぶりの春のセンバツ甲子園出場を目指した星稜高校は、準決勝まで勝ち進んだものの、新潟県の帝京長岡に敗れセンバツ出場遠のく結果となりました。


富山一位の富山商を破り初戦突破

2回戦:富山商戦(5-3 勝利)

石川県の第3代表決定戦を制し北信越大会出場を決めた星稜高校。センバツ出場に向けて大事な初戦の相手はプロ注目のピッチャーで最速145キロ右腕藤岡大翔投手がいる富山県一位の名門富山商業。

好投手相手に星稜は初回に先頭バッターの池田選手と2番中川選手の連打に相手のミスでいきなり一三塁のチャンスを作り内野ゴロの間に幸先よく1点を先制。さらに、4回には和賀選手のソロホームラン、5回は死球、エラーなど相手のミスに乗じて2点を追加します。

しかし、4回まで安定したピッチングをしてきた小路投手ですが、5回につかまり2点を失ったところで渡邊投手に交代。ピンチの場面で犠牲フライで1点を失い1点差に詰め寄られましたが、後続の打者を打ち取ります。6回、7回も渡邊投手は安定した投球を見せ無失点。

8回からは今大会エースナンバーを着けた中森投手が登板し、これまた見事な投球で追加点を与えず、9回に貴重な追加点をあげ、5-3で勝利しました。

延長タイブレークの末、中越高校を破り準決勝進出

準々決勝:中越高校戦(2-1 勝利)

連戦で戦うことになる準々決勝。星稜の先発ピッチャーは初戦に続き小路投手。相手中越も連投となる柳投手。

連投となるため乱打戦となり投手の総力戦になると予想していましたが、小路投手、柳投手が素晴らしい投球を見せ予想外の投手戦となります。小路投手はピンチを招くも要所で三振でピンチを切り抜ければ、柳投手はブレーキの利いたカーブを多投し星稜打線を翻弄します。1-1で迎えた7回に無死一二塁のピンチの場面で、石川大会から好リリーフ見せていた渡邊投手への継投ではなく、エースの中森投手を登板させます。

力強い球で送りバントを阻止する狙いだったのかはわかりませんが、狙い通りバントを決めさせず、続く打者もファーストライナーと三振で大ピンチを無失点で切り抜けます。

ただ、星稜も勝ち越し点を奪えないまま延長タイブレークに突入。延長10回、中森投手は落ち着いた投球で無失点に抑え、その裏、これまで好投していた柳投手からデッドボールで無死満塁として、途中出場していた北橋選手が見事にライトにサヨナラ打を放ち2-1で勝利し準決勝進出を決めました。

帝京長岡に敗れセンバツ出場が遠のく

準々決勝:帝京長岡高校戦(1-2 敗戦)

事実上、来春のセンバツ出場を懸けた北信越大会の準決勝。星稜は新潟の帝京長岡高校と対戦しましたが、攻守にミスを重ねた結果、1対2で惜敗。センバツ出場が大きく遠のく結果となりました。

 敗戦を決定づけたのは、守備のミスから生まれた失点でした。 失点の場面では、二つのエラーとデッドボールが重なり満塁のピンチを招きます。ここで、一塁ランナーのトリックプレーによる飛び出しを利用され、その送球間にホームインを許して先取点を献上。さらにその直後、ワイルドピッチで2点目を奪われるという、ミスが連鎖する形で流れを相手に渡してしまいました。 

 攻撃面でも、再三のチャンスを活かせませんでした。 初回、先頭打者の池田選手が幸先よくツーベースヒットを放ちますが、続く打者が犠牲バントを決められず、さらにファーストゴロの間にも三塁へ進塁できません。後続も二者連続三振に打ち取られるなど、帝京長岡の1年生エース左腕、工藤壱郎投手を前に得点を挙げられません。

 その後も再三チャンスを作るものの、結局ダブルプレーの間の1点に抑え込まれる形となりました。 決して勝てない相手ではなかったと思いますが、自分たちのミスが重なったことで、チーム自身がプレッシャーをかけてしまったような状態となり、そこを帝京長岡に上手く突かれた印象です。

 特に印象的だったのは、再三のチャンスでフルカウントに持ち込みながらも、最後は工藤投手のキレのある変化球でアウトを奪われたことです。この粘りのピッチングからは、1年生ながら工藤投手のレベルの高さを感じました。

秋季大会総括:センバツに「あと一歩」と「重い課題」

今大会を振り返ると、戦前の予想通り、投手陣の総合力を武器に初戦(富山商戦)を突破。準々決勝の勝利によってセンバツ出場が現実味を帯びるも、準決勝での敗戦により、惜しくも甲子園への切符を逃す結果となりました。 

 この秋の戦いを通じて、チームが克服すべきいくつかの課題が明確になりました。 

 1. 守備の安定性:
致命的なミスの連鎖 まず喫緊の課題として挙げられるのが、守備におけるエラーの多さです。 今大会では3試合で計6つのエラーを記録しており、石川県大会を通じてほぼ毎試合ミスが出ていた点を鑑みると、守備の確実性を大幅に高める必要があります。今大会こそ、エラーが失点に直結したのは準決勝のみでしたが、県大会ではエラーが失点に繋がるケースも見られました。 今後は、まずエラーの数を減らすことはもちろん、仮にミスが出たとしても、それを致命的な失点に繋げないための「カバーリングの意識」と「堅固な守りのシステム」を徹底しなくてはなりません。 

 2. 攻撃力向上:
チャンスを確実にものにする徹底力 次に、得点力の向上です。 大量点を一気に奪う強力打線とは言い難いチームであるため、少ないチャンスを確実にものにする攻撃が求められます。しかし準決勝では、走塁ミスや牽制死など、自らチャンスを潰すケースが散見されました。 結果として、タイムリーヒットに頼らざるを得ない状況を作り出し、これが打者へのプレッシャーとなり、自身のバッティングを崩し、得点圏でのあと一本が出ないという悪循環に陥っているように見受けられます。

まずは、走塁やバントなどの基本プレーを徹底し、得点パターンを確立することが急務です。 守備と攻撃の悪循環を断ち切れ 大会を通して、守備のミスが攻撃に影響を与え、攻撃の失敗(得点できないこと)が守りのミスを誘発し、致命的な失点に繋がるという悪循環が見られました。 

この流れを断ち切るためにも、ミスが出た際に個人やチーム全体で強い気持ちを持ち、「必ず挽回する」というポジティブな姿勢と自信を養う精神的な強さが不可欠です。 

 チームを支えた最大の武器:
投手陣の総合力 しかしながら、これだけミスが出る状況でセンバツまであと一歩のところまで勝ち上がれたのは、紛れもなく投手陣の総合力に他なりません。 特に、石川県大会では不安定だった中森投手と小路投手が今大会で安定した投球を見せ、大きく成長したことはチームにとって最大のプラス材料です。

この秋、チームの軸となるべき二人の投手が自信をつけたことは、今後の大きな戦力となります。 小路投手は、特にピンチの場面で三振を奪えるなど粘り強さが身に付いてきました。まだ1年生であり、来年に向けてさらなる成長を果たし、打者を圧倒するエースへと飛躍を遂げることが期待されます。 渡邊投手のリリーフとしての安定感も大きな戦力です。 

 さらに、昨年ベンチ入りを果たしていた織田投手が再び戦列に加わり、中学時代に150キロ近い球速を誇る服部選手の入学が実現すれば、投手陣は質・量ともに充実し、磐石の布陣が完成します。 

 総括:来夏へ向けた展望 これらの要素を総合すると、強力な投手陣を中心とした「守りの安定化」を最優先課題とし、それに加えて「取れる点を確実に奪う野球」を徹底できれば、来夏の甲子園出場は十分に射程圏内に入ると言えるでしょう。 この冬、守備と走塁の意識を徹底的に高め、春を迎えることが重要です。

ベンチ入りメンバー成績表

背番号 選手名学年 守備 打数 得点 安打 打点 AV HR
1中森 斗茂哉2年投手2000.0000
2福場 瑠大2年捕手3110.3330
3伊藤 大史2年内野12010.0832
4井﨑 利功1年内野4011.2500
5池田 玲音2年内野11230.2730
6和賀 仁之介2年内野11233.1821
7杉原 理玖1年外野14141.2140
8中川 絢太2年外野11141.3640
9宮岸 駿丞2年外野8121.2501
10小路 英主1年投手4010.2500
11渡邊 宇一郎2年投手1000.0000
12山田 倖生1年捕手6010.1670
13池脇 槙2年外野2100.0000
14北橋 勇弥2年内野3011.3330
15柳橋 琉生1年内野4010.2500
16髙橋 宗太1年外野0000-0
17吉岡 緯史1年内野0000-0
18尾田 悠空1年投手0000-0
19山岸 直太郎1年投手0000-0
20髙嶋 快翔1年捕手0000-0
962186.2191
背番号選手名回数 打者 球数 安打三振四球 死球失点 自責 防御率
1中森 斗茂哉726951660000.00
10小路 瑛主18 1/376288141721641.96
11渡邊 宇一郎2 2/39281200000.00
18尾田 悠空000000000-
20山岸 直太郎000000000-
28111411162581641.29

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