星稜高校、準決勝で敗れ2年ぶりの夏の甲子園出場ならず(第107回全国高等学校野球選手権 石川大会 総括)

星稜高校、準決勝で敗れ2年ぶりの夏の甲子園出場ならず

第107回全国高等学校野球選手権 石川大会は、小松大谷高校が決勝で金沢高校を破り、見事2年連続の甲子園出場を決めました。 一方、優勝候補の一角と目されていた星稜高校は、準決勝で金沢高校と対戦。熱戦の末、タイブレークまでもつれ込みましたが、惜しくも2-3で敗れ、2年ぶりの夏の甲子園出場の夢は叶いませんでした。

押し出しの四球を与えマウンドで泣き崩れる星稜 戸田投手

星稜高校、金大附高校に圧勝で初戦突破

2回戦:金大附戦(27-0 勝利)

2年ぶりの甲子園出場を目指す星稜高校が、夏の大会初戦で金大附高校と対戦し、27-0の5回コールドで圧勝しました。打線は21安打を放つ猛攻を見せ、力の差を見せつけました。 この試合では、星稜中学出身の1年生左腕、小路瑛主投手が公式戦初登板。4回と5回に2イニングを投げ、4つの三振を奪う上々の投球内容で、鮮烈なデビューを飾りました。 

野球では力の差がありましたが、最後まで諦めずに戦い抜いた金大附属高校の選手たちに心から拍手を送ります。 これからは受験に向けて、野球で培った集中力と粘り強さを発揮し、3年生全員が希望の大学に合格できるよう、心から応援しています!

星稜高校、金沢龍谷に逆転勝ちで準々決勝進出!

3回戦:金沢龍谷戦(9-5 勝利)

初回、エースの道本投手がまさかの2者連続死球を与え、4番・長谷川選手には3ランホームランを献上。さらに1点を追加され、いきなり4点を追いかける苦しい展開となりました。このまま敗戦も頭をよぎりましたが、3回に相手のエラーも絡めて打線が爆発。連打で一挙6点を奪い、鮮やかに逆転に成功しました。 2回以降、立ち直った道本投手は相手打線を完全に抑え込み、反撃を許しません。さらに6回と8回には、金沢龍谷の好投手・中川投手から効果的に追加点を奪い、勝利を決定づけました。8回に球威の落ちた道本投手が1点を失いましたが、その後は戸田投手がきっちり締め、21年連続となる準々決勝進出を決めました。


 試合を振り返ると初回に大量失点し、さらに先制直後の2回にもチャンスを潰すなど、嫌な流れが続いていました。しかし、選手たちが「低く鋭い当たりを打つ」ことを徹底できたのが、逆転勝利に繋がった大きな要因だと考えられます。

星稜高校、延長タイブレークの末、航空石川を破る

準々決勝:日本航空石川戦(7-5 勝利)

初回に幸先よく1点を先制したものの、さすがはセンバツ出場校の日本航空石川高校。2回に2点を奪われ逆転を許し、3回には2番手でマウンドに上がった木野投手も追加点を許す苦しい展開となりました。 しかし、ここから粘りを見せます。6回に服部主将のタイムリーで1点差に詰め寄ると、さらに8回には濱田選手のタイムリーでついに同点に追いつきました。 その後もチャンスを作りながらも勝ち越すことができず、試合は延長タイブレークに突入。


先行の星稜が2点を奪うも、その裏に航空石川がすぐさま追いつくという息詰まる攻防が続きました。 なおも二死二、三塁の絶体絶命のピンチ。しかし、ここでエース道本投手が真骨頂を発揮します。ストレートで押し切り、二者連続三振を奪ってこのピンチを脱すると、その勢いに乗ったチームは11回に待望の2点を勝ち越し。その裏の攻撃を無失点に抑え、見事に逆転勝利で準決勝進出を決めました。

今回の日本航空石川戦を振り返ると、星稜高校の巧みな采配が光ったと言えるでしょう。序盤にリードを許したものの、まるで後半勝負を見据えていたかのようです。

特筆すべきは投手起用です。3回から主力の道本投手や戸田投手ではなく、木野投手を登板させたこと。そして、土壇場の延長タイブレークまでエース道本投手を温存できたことが、結果的に勝利へと繋がった最大の要因だと考えられます。エースを温存しながら試合を膠着させ、ここぞという場面で投入する戦略が見事にハマりました。

かたや日本航空石川も、今まで公式戦での登板機会が少なかった保西投手を先発させるという意図的な投手起用を見せました。二番手からはエースの長井投手を6回途中から登板させ、逃げ切りを図る作戦だったのでしょう。しかし、星稜の猛追に同点に追いつかれてしまい、最後までエースに託す投手起用が裏目に出てしまった感は否めません。結果的に、長井投手を最後まで引っ張らざるを得ない状況が、星稜に勝機を与えたのかもしれません。

また、この試合だけでなく金沢龍谷戦でも感じましたが、星稜打線は低反発バットへの適応が見受けられ、また、人工芝のグラウンド特性を活かすような、低く鋭い打球を意識しているのか、その辺りの対応も星稜に分があったと感じました。

今回の試合は、単なる打撃戦や投手戦というだけでなく、両チームの監督の戦略と駆け引きが色濃く出た一戦だったと言えるでしょう。

星稜高校、金沢との激闘、延長タイブレークの末に惜敗

準決勝:金沢戦(2-3 敗戦)

石川大会準決勝は、星稜高校と金沢高校のエースが先発し、息詰まる投手戦となりました。均衡が破れたのは5回裏、金沢の能見選手が放ったホームランで金沢が1点を先制。追いかける展開となった星稜は、相手エースの技巧派左腕、西木戸投手の前に攻めあぐね、なかなかチャンスを作れないまま終盤を迎えます。



金沢は8回、二番手に能見選手をマウンドに送ります。技巧派の西木戸投手に苦戦を強いられていた星稜打線にとって、オーソドックスな投球スタイルの能見選手への交代はチャンスがあると見えました。その見立て通り、都築選手が値千金のタイムリーヒットを放ち、ついに試合を振り出しに戻します。 


 しかし、9回裏に予期せぬ事態が発生します。内野安打で出塁したランナーへの牽制球の際に、エースの道本投手が足を攣ってしまい、急遽戸田投手がマウンドに上がります。さらに、交代直後には、昨秋に西武ライオンズからドラフト1位指名を受けた齋藤大翔選手の弟、齋藤樹希選手に盗塁を許し、一打サヨナラの絶体絶命のピンチを迎えます。続く打者にはセンター前ヒットを許しますが、試合途中からセンターの守備についていた濱田選手の好返球が光り、間一髪でサヨナラの危機を脱します。準々決勝に続き、試合は再び延長タイブレークへ突入しました。 


 延長10回表、星稜は相手のパスボールで無死二、三塁と絶好のチャンスを迎えます。この場面で打撃も良い戸田選手が、見事にレフト前へタイムリーヒットを放ち、待望の勝ち越し点を奪います。さらに追加点を狙う星稜でしたが、スリーバントスクイズの失敗、能見選手のフォアボールで満塁としながらも、右打者が続く打順で右サイドハンド気味に投げる庄田投手が金沢のマウンドへ。庄田投手の見事な投球の前に、星稜は後続を二者連続で打ち取られてしまい、結果的に1点しか勝ち越すことができませんでした。 この追加点を奪えなかったことが、まさに勝負の分かれ目となります。その裏の10回裏、金沢は記録こそセンター前ヒットでしたが、二遊間が譲り合ったような形になり、あっさり同点に追いつかれてしまいます。さらに犠牲バントで二、三塁とされ、満塁策も考えられる状況で金沢は勝負を選択し、フォアボールで満塁。続く能見選手にもボールが先行し、最後は大きく外れて押し出しフォアボール。星稜は、悔しいサヨナラ負けを喫しました。 



 常に金沢が優位に試合を進めているような展開ではありましたが、今大会、粘り強く戦ってきた星稜の戦いぶりからすれば、逆に星稜ペースなのではないかと感じる瞬間もありました。8回に追いつき、9回裏のピンチを凌ぎ、タイブレークで勝ち越し点を奪った時には勝利を確信しましたが、庄田投手の見事な投球の前に追加点を奪えなかったことが、明暗を分けた最大の要因だったと言えるでしょう。

ベンチ入りメンバー成績表

背番号 選手名学年 守備 打数 得点 安打 打点 AV HR
1道本 想3年投手6121.3330
2能美 誠也3年捕手14786.5710
3高橋 弘季3年内野18776.3890
4落合 優羽3年内野8310.1250
5和賀 仁之介2年内野18588.4440
6服部 航3年内野16692.5630
7濱田 大聖3年外野15222.1330
8南出 遥斗3年外野12321.1670
9都築 悠清3年外野17685.4711
10戸田 慶星3年投手5235.6000
11小路 瑛主1年投手3110.3330
12沙弥 大和3年内野2000.0000
13吉本 翔3年内野2010.5000
14中川 絢太2年外野2010.5000
15松本 悠良3年内野1011.5000
16宮岸 駿丞2年内野2111.5000
17中森 斗茂哉2年投手0000-0
18木野 孝士3年投手0000-0
19杉原 理玖1年外野2111-0
20山田 倖生1年捕手0000-0
143455639.3921
背番号選手名回数 打者 球数 安打三振四球 死球失点 自責 防御率
1道本 想1770230131633663.18
10戸田 慶星114316281430421.62
11小路 瑛主417703520224.50
17中森 斗茂哉 ----------
18木野 孝士28332100114.50
3213046224358312102.81

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